
多様性のある職場づくりとMBTI【2025年版・企業向け実践ガイド】
「多様な人材を採用しているのに、うまく活かせていない」「ダイバーシティ推進が形だけになっている」そんな悩みを抱えていませんか?
実は、MBTI性格診断を活用することで、性格タイプの多様性を理解し、全員が力を発揮できるインクルーシブな職場を作ることができます。
この記事では、企業の人事・マネージャー向けに、MBTIを活用した多様性のある職場づくりの方法を、実践的なアプローチとともに詳しく解説します。
この記事で分かること
- ダイバーシティとMBTIの関係
- 性格タイプの多様性がもたらす価値
- インクルーシブな環境づくりの実践方法
- 多様性を活かす具体的施策
読了時間: 約12分
目次
ダイバーシティ時代になぜMBTIが重要か
ダイバーシティの現状と課題
2025年のダイバーシティ
日本の状況:
- 少子高齢化による労働力不足
- 女性活躍推進法の拡大(101人以上の企業)
- 外国人労働者の増加
- LGBTQ+への配慮
- 障害者雇用の促進
世界的トレンド:
- DEI(Diversity, Equity & Inclusion)重視
- ジェネレーションダイバーシティ(Z世代、ミレニアル、X世代、ベビーブーマー)
- 働き方の多様化(リモート、フレックス、副業)
ダイバーシティ推進の3つの課題
課題1: 表面的な多様性にとどまる
問題:
- 採用で多様性を確保するが、活かせていない
- マイノリティが孤立する
- 「いるだけ」の状態
結果: 多様性の価値を実感できない
課題2: 見えない多様性の見落とし
見えやすい多様性:
- 性別
- 年齢
- 国籍
- 障害の有無
見えにくい多様性:
- 性格特性 ← MBTIで可視化
- 価値観
- コミュニケーションスタイル
- 思考パターン
問題: 見えにくい多様性を理解できず、コンフリクトが生じる
課題3: インクルージョンの欠如
ダイバーシティ ≠ インクルージョン
| ダイバーシティ | インクルージョン | 
|---|---|
| 多様な人材がいる | 全員が受け入れられている | 
| 違いが存在する | 違いが尊重されている | 
| 採用で実現 | 環境・文化で実現 | 
問題: 多様な人材がいても、心理的安全性がなく、力を発揮できない
MBTIがダイバーシティに貢献する5つの理由
理由1: 見えない多様性の可視化
効果: 性格特性という「見えない多様性」を明確にし、理解しやすくする
例:
「Aさんは会議で発言しない」
↓ MBTIで理解
「Aさん(INFP)は内向型で、じっくり考えてから発言する特性がある」
理由2: 違いの肯定的理解
従来: 「なぜあの人はそうなんだろう?」(否定的)
MBTI活用後: 「あの人はそういうタイプなんだ」(肯定的)
効果:
- 対立が減る
- 相互理解が深まる
- 心理的安全性が高まる
理由3: 補完的チーム構成
多様性の価値: 異なるタイプが補完し合うことで、チームの総合力が高まる
例:
| 役割 | タイプ | 貢献 | 
|---|---|---|
| 戦略立案 | INTJ | 長期視点 | 
| アイデア創出 | ENTP | 革新的発想 | 
| 実行管理 | ESTJ | 組織化 | 
| 調整サポート | ESFJ | 人間関係 | 
理由4: コミュニケーションの最適化
効果: タイプに応じたコミュニケーション方法を選ぶことで、誰もが理解しやすい環境を作れる
例:
- 内向型(I): 事前に資料、考える時間
- 外向型(E): 対話、即座の議論
- 感覚型(S): 具体的事実、手順
- 直観型(N): 全体像、可能性
理由5: 組織文化の変革
効果: MBTIを通じて「違いを尊重する文化」が醸成される
変化:
Before:
「みんな同じように働くべき」
After:
「それぞれの特性を活かして、多様な方法で貢献できる」
性格タイプの多様性を理解する
4つの軸で見る多様性
軸1: エネルギーの方向(E/I)
外向型(E)と内向型(I)の共存:
| 外向型(E) | 内向型(I) | 
|---|---|
| 人との交流でエネルギー充電 | 一人の時間でエネルギー充電 | 
| 話しながら考える | 考えてから話す | 
| 広く浅い人間関係 | 狭く深い人間関係 | 
共存のポイント:
- 会議: 事前資料配布(I型配慮)+ 活発な議論(E型配慮)
- 職場: オープンスペース(E型)+ 集中ブース(I型)
- イベント: 大人数交流(E型)+ 少人数交流(I型)
軸2: 情報収集(S/N)
感覚型(S)と直観型(N)の共存:
| 感覚型(S) | 直観型(N) | 
|---|---|
| 事実・データ重視 | パターン・可能性重視 | 
| 現実的・実践的 | 理論的・未来志向 | 
| 詳細に注意 | 全体像を把握 | 
共存のポイント:
- プロジェクト: S型が実行、N型が戦略
- 報告: 詳細データ(S型)+ 要約と示唆(N型)
- イノベーション: N型がアイデア、S型が実現可能性チェック
軸3: 意思決定(T/F)
思考型(T)と感情型(F)の共存:
| 思考型(T) | 感情型(F) | 
|---|---|
| 論理と客観性 | 価値観と調和 | 
| 効率重視 | 人への影響考慮 | 
| 公平な判断 | 個別の事情配慮 | 
共存のポイント:
- 意思決定: T型が論理分析、F型が人への影響評価
- フィードバック: T型に論理的説明、F型に共感的アプローチ
- チーム運営: T型が構造、F型が人間関係
軸4: 外界への接し方(J/P)
判断型(J)と知覚型(P)の共存:
| 判断型(J) | 知覚型(P) | 
|---|---|
| 計画的・組織的 | 柔軟・適応的 | 
| 早く決断したい | 選択肢を残したい | 
| 期限厳守 | 臨機応変 | 
共存のポイント:
- プロジェクト管理: J型が計画、P型が柔軟対応
- 期限: 明確な締切(J型)+ 余裕(P型)
- 変更: J型に理由説明、P型に柔軟性評価
タイプグループ間の多様性
4つのグループ
- NT(分析家): 論理・戦略
- NF(外交官): 理想・人間関係
- SJ(番人): 実行・安定
- SP(探検家): 柔軟・実践
各グループの価値:
【プロジェクト例】
NT: 戦略立案、問題分析
NF: ビジョン共有、チーム調和
SJ: 計画実行、品質管理
SP: 柔軟対応、即座の問題解決
インクルーシブな環境づくり
インクルージョンの4つの柱
柱1: 心理的安全性
定義: 自分らしくいられる、意見を言える、失敗しても大丈夫だと感じられる環境
MBTIでの実現:
- 
タイプを尊重する文化 - 「内向的だからダメ」ではなく「内向的な強みがある」
 
- 
多様な意見を歓迎 - T型の論理的意見もF型の感情的意見も両方価値がある
 
- 
失敗を学びに - P型の柔軟な試行錯誤を評価
 
柱2: 公平な機会
定義: 全員に等しく機会が提供され、タイプによる不利益がない
実践:
- 
多様な評価基準 - 成果だけでなくプロセスも評価(P型配慮)
- 論理だけでなく人間関係も評価(F型配慮)
 
- 
働き方の選択肢 - オフィス/リモート(E型/I型)
- フレックス/固定(P型/J型)
 
- 
昇進・育成の公平性 - リーダー像の多様化(Eだけでなく、Iもリーダーになれる)
 
柱3: 所属感
定義: 自分がチームの一員であると感じられる
実践:
- 
タイプ別の貢献の可視化 - 「Aさん(ISFJ)の細やかなサポートのおかげで、 プロジェクトがスムーズに進んだ」
 
- 
多様な交流の場 - 大人数イベント(E型向け)
- 少人数ランチ(I型向け)
- オンライン交流(選択可能)
 
- 
メンタリング・バディ制度 - 異なるタイプ同士をペアリング
 
柱4: 成長機会
定義: それぞれの特性に合った成長の道がある
実践:
- 
タイプ別育成プログラム - リーダーシップ(全タイプ向けに多様な方法)
- コミュニケーション(タイプ別アプローチ)
 
- 
ストレッチアサインメント - タイプ外の挑戦も支援(成長機会)
 
- 
キャリアパスの多様化 - マネジメントだけでなく、スペシャリストの道も
 
具体的な環境整備
物理的環境
オフィス設計:
【エリア分け】
- オープンスペース: E型が好む、協働しやすい
- 集中ブース: I型が好む、一人で集中
- ミーティングルーム: 様々なサイズ
- リラックスエリア: 休憩・非公式交流
【柔軟性】
- フリーアドレス(選べる)
- リモートワーク可
- 予約制の個室
デジタル環境
ツール:
【コミュニケーション】
- 同期(会議、チャット): E型向け
- 非同期(メール、ドキュメント): I型向け
【情報共有】
- 詳細データベース: S型向け
- 要約・ダッシュボード: N型向け
【フィードバック】
- リアルタイム: E型向け
- 時間を置いて: I型向け
制度・ルール
柔軟な働き方:
【時間】
- フレックスタイム
- コアタイム短縮
- 裁量労働制
【場所】
- リモートワーク
- サテライトオフィス
- 出社・在宅のハイブリッド
【評価】
- 成果主義 + プロセス評価
- 多様な貢献の認識
- ピアレビュー導入
実践的な取り組みと施策
施策1: ダイバーシティ研修
目的: 性格タイプの多様性を理解し、インクルーシブな行動を学ぶ
プログラム例:
【3時間ワークショップ】
1. イントロダクション(30分)
   - ダイバーシティ・インクルージョンとは
   - なぜMBTIが有効か
2. MBTI基礎(30分)
   - 4つの指標、16タイプ
   - 自己診断結果の共有(任意)
3. グループワーク1(40分)
   - 「タイプ間の違いを体験する」
   - 同じ課題への異なるアプローチ
4. グループワーク2(40分)
   - 「インクルーシブな行動を考える」
   - 日常でできる配慮
5. アクションプラン(40分)
   - チームでのコミットメント作成
施策2: インクルーシブリーダーシップ育成
目的: マネージャーがMBTIを活用し、多様なチームを率いる
トレーニング内容:
- 
多様性の価値理解 - なぜ多様性が必要か
- 同質的チームのリスク
 
- 
タイプ別マネジメント - 16タイプへの効果的アプローチ
- 動機付け方法の違い
 
- 
インクルーシブな意思決定 - 全員の意見を引き出す方法
- バイアスの認識と克服
 
- 
対立の建設的解決 - タイプ間の対立理解
- win-winの解決策
 
施策3: メンタリング・バディプログラム
目的: 異なるタイプ同士が学び合う
設計:
【ペアリング】
- 意図的に異なるタイプをペアに
- 例: INTJ × ESFP
【活動】
- 月1回の1on1
- 相互理解セッション
- 互いの仕事体験
【効果】
- 視野の拡大
- 相互理解の深化
- ネットワーク構築
施策4: インクルーシブな会議運営
従来の会議の問題:
- E型が支配しがち
- I型が発言しにくい
- T型とF型が対立
- J型が早く決めたがり、P型が情報を求める
改善策:
【事前】
- アジェンダと資料を事前共有(I型、S型配慮)
- 質問・意見を事前提出可能
【進行】
- ラウンドロビン(全員順番に発言): I型配慮
- 静かな思考時間: I型配慮
- ブレインストーミング: E型、N型活性化
- データ共有: S型、T型満足
【決定】
- 論理的分析(T型)+ 人への影響(F型)
- 期限設定(J型)+ 柔軟性(P型)
【事後】
- 議事録共有(全タイプ)
- 未解決事項の明確化(P型安心)
施策5: 多様性指標の設定と測定
測定指標:
【定量指標】
- MBTIタイプ分布
- タイプ別の昇進率
- タイプ別の離職率
- タイプ別の満足度
【定性指標】
- 心理的安全性スコア
- インクルージョン感
- 「自分らしくいられる」度合い
- 多様性の価値実感
【アンケート例】
Q1. 職場で自分らしくいられますか?
Q2. 自分の性格特性が尊重されていると感じますか?
Q3. 多様な意見が歓迎されていますか?
施策6: セレブレーション(違いの祝福)
活動例:
【月次】
- 「今月のMVP」各タイプから選出
- 多様な貢献の可視化
【四半期】
- タイプ別の強み共有会
- 「私たちの違いが生み出した成果」プレゼン
【年次】
- ダイバーシティアワード
- インクルーシブリーダー表彰
まとめ:真の多様性を実現するために
この記事では、MBTIを活用した多様性・インクルーシブな職場づくりを解説しました。
要点のおさらい
- 多様性は性格タイプにも存在: 見えない多様性を理解する
- ダイバーシティ ≠ インクルージョン: 両方が必要
- MBTIは多様性理解のツール: 違いを可視化し、尊重する
- 環境・制度・文化の整備: 総合的アプローチ
今日から始める3つのアクション
アクション1: 現状分析
自社のチーム構成を確認し、タイプの偏りがないかチェックしましょう。
アクション2: ダイバーシティ研修の企画
MBTIを取り入れたダイバーシティ研修を計画してみましょう。
アクション3: インクルーシブな取り組みを1つ実行
会議運営やコミュニケーション方法を見直し、全タイプが参加しやすい工夫を始めましょう。
ゆめスタの知見
株式会社ゆめスタは、多様な人材の就労支援を通じて、インクルーシブな職場づくりをサポートしてきました。
多様性の本質
真の多様性とは、**「違いを受け入れる」だけでなく、「違いを価値として活かす」**ことです。
成功企業の共通点
多様性で成功している企業の共通点:
- トップのコミットメント: 経営層が本気
- 全員参加: 特定部署だけでなく、全社
- 継続的取り組み: 一過性のイベントではない
- 測定と改善: 効果を測り、改善し続ける
失敗から学ぶ
よくある失敗:
- 形だけのダイバーシティ(採用で終わり)
- マイノリティへの過度な期待・負担
- マジョリティの反発(「逆差別だ」)
- 測定なしの取り組み
対策:
- インクルージョンまで実現
- 全員に公平な機会と責任
- 全員にメリットがあることを示す
- データに基づく改善
継続的改善のポイント
PDCAサイクル
Plan: 多様性目標設定、施策計画
Do: 研修、制度導入、環境整備
Check: 指標測定、アンケート、ヒアリング
Act: 改善、新施策導入
四半期ごとの確認
- 多様性指標の確認
- インクルージョンスコアの測定
- 従業員フィードバック収集
- 施策の効果検証
最後に
多様性のある職場づくりは、一朝一夕には実現しません。しかし、MBTIという具体的なツールを使い、「見えない多様性」を可視化することで、着実に前進できます。
重要なのは、違いを尊重し、全員が力を発揮できる環境を作るという強いコミットメントです。
一人ひとりの個性が輝き、それが組織の強みになる。そんな職場を一緒に作っていきましょう。
多様性・インクルージョンのご相談なら、ゆめスタへ
株式会社ゆめスタでは、企業向けのダイバーシティ研修やインクルーシブな職場づくりのコンサルティングを提供しています。
組織の多様性推進でお悩みの方は、ぜひご相談ください。
執筆日: 2025-10-26 更新日: 2025-10-26 カテゴリ: 企業・職場向け タグ: MBTI, ダイバーシティ, インクルージョン, 組織文化 執筆: 株式会社ゆめスタ コンテンツチーム
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